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プラチナバンドとは?700MHz帯が繋がりやすい理由

2026年7月5日|いろは堂テック編集部
携帯電話基地局(ソフトバンク移動基地局車)

画像出典: 写真: RuinDig/Yuki Uchida(CC BY 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
プラチナバンドとは、日本で700MHz〜900MHz帯の周波数を指す携帯電話業界の俗称です。この帯域は波長が長く、障害物の裏側に回り込む「回折」や壁を通り抜ける性質に優れるため、同じ送信出力でもビルの陰や屋内まで電波が届きやすくなります。ただし高い周波数帯に比べて一度に運べるデータ量は小さく、速さと届きやすさは同時には手に入りません。
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「プラチナバンドを獲得」ってニュースで見るけど、周波数が変わるだけでそんなに違うもの?

周波数が変わると、電波の「振る舞い方」そのものが変わります。速度の数字が変わるという話ではなく、建物の陰に回り込むか、部屋の奥まで届くか、といった届き方の性質が変わるのです。

正直なところ、ここは数字の大小だけを見ていても腑に落ちにくい部分です。電波を波として捉え直すと、なぜ低い周波数が「プラチナ」と呼ばれるほど欲しがられるのかが見えてきます。

プラチナバンドとは何を指す言葉?

プラチナバンドは、日本において700MHz〜900MHz帯を指す携帯電話業界の俗称です。正式な技術用語ではなく、業界内で使われてきた呼び名で、総務省が同じ帯域を「ゴールデンバンド」と呼ぶこともあります。

携帯電話に使う周波数は、事業者が自由に選べるものではありません。電波法にもとづき、総務省が各通信事業者へ割り当てます。だからこそ「獲得した」「認定された」というニュースになるわけです。

そしてこの帯域は、すでに多くの事業者へ割り当て済みで、新しく空いている部分がほとんどありません。性能が優れているうえに数が限られている——この希少性も、「プラチナ」と呼ばれる由来のひとつです。

用途は携帯電話だけではありません。テレビ放送の中継、道路交通関連の無線、ラジオマイクなどにも使われている、いわば取り合いの激しい帯域です。

なぜ低い周波数は「繋がりやすい」のか?

ここからが本題です。700〜900MHz帯が有利なのは、波長が長いことに理由があります。

回折:障害物の裏側へ回り込む

波長の長い電波は、障害物の裏側へ回り込む性質——回折——に優れています。海の波が防波堤の端を過ぎたあと、堤の裏側にも回り込んで広がっていくのと同じ現象です。波が長いほど、この回り込みは大きくなります。

ビルの陰に立っても、電波は建物の縁を回り込んで届きます。周波数が高いほどこの回り込みは弱く、建物の裏側に電波の影が残りやすくなります。

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建物の裏でも圏外にならないのは、電波が「曲がって」届いてるってこと?

電波が届く経路は、直線だけではありません。回り込んだ波、壁や地面で反射した波が合わさって、私たちのスマホに届いています。低い周波数はこのうち「回り込み」の分が大きいため、見通しの悪い場所ほど差が出ます。

透過:壁を通り抜ける

もうひとつが、建物や壁を通り抜ける透過の性質です。700〜900MHz帯は壁の向こう側へ電波を通しやすく、屋内でも電波を掴みやすくなります。地下や建物の奥まった部屋で電波の粘りが違うのは、この差が効いています。

結果として、少ない基地局で広く覆える

回折と透過に優れるということは、同じ送信出力でも一つの基地局がカバーできる範囲が広くなるということです。逆に高い周波数帯は同じ広さを覆うために基地局を密に置く必要があり、設備投資も工期もかさみます。

低い周波数が効きやすい場面
  • ビルに囲まれた路地や、建物の陰
  • 屋内・地下・建物の奥の部屋
  • 基地局を密に置きにくい山間部や郊外

では高い周波数は劣っているのか?

いいえ、そういう話ではありません。周波数の高低は優劣ではなくトレードオフです。

低い周波数(700〜900MHz帯)回り込み・透過に優れ、少ない基地局で広域と屋内をカバーしやすい。伝送容量は相対的に小さい
高い周波数(3.5GHz帯・ミリ波帯など)直進性が強く障害物に弱い。カバー範囲は狭いが伝送容量が大きく、高速大容量通信に向く

3.5GHz帯や5Gのミリ波帯は、直進性が強く障害物には弱いものの、一度に運べる伝送容量が大きいという長所があります。混雑する繁華街やスタジアムのような場所で高速通信を成立させているのは、こちら側の帯域です。

つまり、プラチナバンドは「速さ」ではなく「届く範囲と粘り」を担う帯域です。実際の携帯ネットワークは、この両方を重ねて使うことで成り立っています。広く薄く覆う低い周波数の上に、人が集まる場所へ高い周波数を重ねる——そういう組み合わせ方です。

プラチナバンドがあれば速くなる、ではありません

プラチナバンドを持つ事業者に乗り換えれば通信が速くなる、と期待すると当てが外れることがあります。この帯域が改善するのは主に「圏外になりにくさ」「屋内での掴みやすさ」であり、混雑した場所での速度は高い周波数帯の設備や割り当て幅に左右されます。自分の困りごとが「繋がらない」なのか「遅い」なのかで、見るべきポイントが変わります。

日本ではいつ、誰に割り当てられたのか?

この帯域が話題になりやすいのは、割り当てが大きなニュースとして扱われてきた歴史があるからです。

割り当てまでの流れはどの事業者でも共通で、まず事業者が特定基地局開設計画(その周波数で基地局をどこにどれだけ建てるかをまとめた計画書)を総務省へ提出します。それを電波監理審議会(電波の割り当ての妥当性を審議する総務省の第三者機関)が審議し、その答申を受けて総務省が正式に割り当てを決めます。

  1. 2012年3月1日:ソフトバンクへ900MHz帯同社は2012年1月27日に900MHz帯の特定基地局開設計画を申請し、電波監理審議会が2月29日に割当を適当と答申。3月1日に総務省が正式に割当を決定しました。900MHz帯を使うサービスは同年7月25日開始予定として発表され、LTE(4Gと呼ばれる世代の通信方式)での運用は2014年夏に始まっています。
  2. 2023年10月23日:楽天モバイルへ700MHz帯総務省が「700MHz帯における移動通信システム普及のための特定基地局開設計画」を認定しました。認定の有効期間は10年間です。基地局の無線機にはノキア製を採用すると2024年2月27日に発表されています。
  3. 2024年6月27日:楽天モバイルが商用サービス開始当初計画では2026年3月頃の開始予定でしたが前倒しされ、東京都世田谷区で700MHz帯の商用サービスが始まりました。

新規に割り当てられる帯域がほとんど残っていない中で、こうした割り当てが個別に報じられること自体が、この帯域の希少性を物語っています。

自分の環境でプラチナバンドの効きを判断するには?

スマホの画面に「今どの周波数で繋がっているか」が常時表示されるわけではありません。それでも、判断の手がかりはあります。

見るべきは「場所ごとの差」
  • 屋外の見通しが良い場所では困らないのに、屋内や地下でだけ不安定になるか
  • 建物の陰・エレベーター前・窓から遠い部屋で電波表示が落ちるか
  • 人が多い場所で「圏外にはならないが遅い」状態になるか

上のうち前の2つに当てはまるなら、届きやすさ——つまり低い周波数帯のカバーが効く領域の問題です。3つ目に当てはまるなら、届く/届かないではなく容量側の問題なので、プラチナバンドの有無では解決しにくくなります。

もう一段踏み込むなら、事業者ごとのエリアマップを同じ住所で見比べる方法があります。届きにくさに悩んでいるなら、速度の宣伝値ではなく、自分の生活圏がどう塗られているかを先に確認する。そのほうが判断を間違えません。

周波数の話は目に見えないぶん取っつきにくいのですが、「波が長いほど回り込み、短いほど真っ直ぐ進む」という一点さえ押さえておけば、ニュースで帯域の話が出たときも何が争点なのかを読み取れるようになります。

よくある質問

プラチナバンドとは何ですか?

日本において700MHz〜900MHz帯の周波数を指す携帯電話業界の俗称です。総務省が同じ帯域を「ゴールデンバンド」と呼ぶこともあります。正式な技術用語ではありません。

なぜプラチナバンドは繋がりやすいのですか?

700〜900MHz帯は波長が長く、障害物の裏側へ回り込む回折や、建物・壁を通り抜ける透過の性質に優れるためです。そのため同じ送信出力でも、ビルの陰や屋内まで電波が届きやすくなります。

プラチナバンドなら通信速度も速くなりますか?

速度が上がるとは限りません。低い周波数帯は広くカバーできる一方で伝送容量は相対的に小さく、高速大容量通信は3.5GHz帯やミリ波帯など高い周波数帯が担います。プラチナバンドが改善するのは主に圏外になりにくさや屋内での掴みやすさです。

楽天モバイルのプラチナバンドはいつ始まりましたか?

2023年10月23日に総務省が700MHz帯の特定基地局開設計画を認定し、2024年6月27日に東京都世田谷区で商用サービスが始まりました。当初計画の2026年3月頃から前倒しされた形です。

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