いろは堂投資 ← 戻る

成行と指値、初回注文はどっちを選ぶ?

2026年5月27日|いろは堂投資編集部
証券取引所の立会場(イメージ)

画像出典: 写真: S.aderogba(CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons)

この記事の要点
成行注文は価格を指定せず、取引所のルール上いちばん先に約定します。指値注文は価格を指定でき、想定外の値段で約定しない代わりに、株価が届かなければ成立しません。板が厚く売買が活発な銘柄で確実に成立させたいときは成行、値動きが荒い銘柄や価格にこだわりたいときは指値、という切り分けが基本です。
😟
注文画面に「成行」と「指値」があって、どっちを選べばいいのか分からないまま手が止まってる…

最初の発注でつまずくポイントは、だいたいここです。ボタンが2つ並んでいるだけなのに、押した後に何が起きるかが想像できない。だから押せない。

この2つは「早さ」と「価格」のどちらを取るかという交換条件になっています。成行は価格を諦めて成立を取る注文、指値は成立を諦めて価格を取る注文です。そして、どちらが先に約定するかは証券会社ではなく取引所のルールで決まっています。仕組みを一度おさえてしまえば、画面の前で迷う時間はなくなります。

成行注文と指値注文は何が違う?

指値注文は、売買する価格を自分で指定する注文です。買いなら「この値段以下なら買う」、売りなら「この値段以上なら売る」という条件を付けて出します(出典: 楽天証券)。1,000円の指値買いを出せば、1,050円で約定することはありません。

成行注文は、価格を指定せずに「今の値段でいいから売買したい」と出す注文です。いくらで成立するかは、注文を出した瞬間に板(売り注文と買い注文の一覧)に並んでいる相手方の価格で決まります。

言い換えると、指値は「条件を出して待つ」、成行は「条件を出さずに今いる相手と取引する」注文です。ここが両者の分かれ目で、この後の優先順位もメリットも、すべてこの違いから出てきます。

なぜ成行のほうが先に約定するの?

約定の順番は、証券会社ごとの都合ではなく取引所のルールで決まっています。価格の指定・優先順位・利点と弱点を並べると、両者の性格の差はこうなります。

比較する点成行注文指値注文
価格の指定しないする
約定の優先順位最優先成行の後、有利な価格から順に
いちばんの利点売買が成立しやすい約定価格を自分で決められる
いちばんの弱点想定外の価格で約定することがある株価が届かないと約定しない

日本取引所グループおよび各証券会社の公表資料をもとに作成

上の表の「約定の優先順位」がなぜこうなるのかは、取引所にある2つの原則で説明できます。

約定を決める2つの原則
  • 価格優先の原則:売り注文は値段の低いものが高いものより優先、買い注文は値段の高いものが低いものより優先する(出典: 日本取引所グループ)
  • 時間優先の原則:同じ価格の注文どうしは、先に出された注文が後から出された注文より優先する(出典: 日本取引所グループ)

成行注文は価格を指定していないため、この価格優先の並びの中で「最も安い売り」「最も高い買い」として扱われます。結果として、成行注文はどんな指値注文よりも常に先に約定します。成行どうしが競合した場合は時間優先で処理され、そのあとに指値が有利な価格から順に約定していきます。

「成立しやすい」は裏を返せば「値段を選べない」ということです。板が薄い銘柄や、急な変動が起きている場面では、直前に見えていた株価とかけ離れた値段で成立することがあります(出典: OANDA)。逆に指値は、その価格に株価が届かないままなら、いつまでも約定しません。

発注画面ではどう入力する?

🤔
画面に項目がたくさんあって、どこを触ればいいのか分からない…

主要なネット証券の株式注文画面は、会社が違っても入力の順番はほぼ共通です(出典: マネックス証券)。

  1. 銘柄と株数を入れる売買したい銘柄コードを指定し、株数(通常は100株単位)を入力します。
  2. 注文方法を選ぶ「成行」「指値」がラジオボタン等で並んでいるので、どちらかを選択します。
  3. 指値なら価格を入力する指値を選んだときだけ価格欄が有効になります。買いなら上限、売りなら下限として希望する値段を入れます。
  4. 執行条件・市場を確認する「本日中」「今週中」などの有効期限と、市場(東証など)を確認します。
  5. 注文確認画面で読み直す売買の別・株数・価格・注文方法が意図どおりか確認してから発注します。

初めのうちは、確認画面で「これは買いか売りか」「価格は指定されているか」の2点だけでも声に出して読み直すと、方向を取り違える事故が減ります。

結局どっちを選べばいい?判断の目安は?

各社の解説で共通して示されている整理は、次のとおりです(出典: 株初心者のための株式投資と相場分析方法)。

成行が向いている場面
  • 板が厚く、売買が活発な銘柄を扱っているとき
  • 価格より「今日中に成立させること」を優先したいとき
  • 指値で待ち続けて機会を逃すのが困るとき
指値が向いている場面
  • いくらまでなら出すか、自分の中で上限が決まっているとき
  • 値動きが荒い、または板が薄い銘柄を扱うとき
  • 取引時間中に画面を見ていられないとき

数値で考えると分かりやすくなります。ある銘柄の株価が1,000円前後で、板の売り注文が1,000円に少しだけ、その上は1,050円まで空いているとします。ここで100株の成行買いを出すと、1,000円の売り注文を食い尽くした分は1,050円で約定します。想定より5%高い買い物になるわけです。1,010円の指値買いにしておけば、1,050円で約定してしまうことはありません。その代わり、株価が下がらなければ約定しないまま終わります。

どちらが正解というものではなく、「価格がずれる痛み」と「約定しない痛み」のどちらが自分にとって大きいかで選ぶ、という判断です。

成行が特に注意になるケースもあります

寄り付き直後(その日の取引が始まった直後の時間帯)や決算発表の直後など、価格が大きく動いている時間帯の成行注文は、直前に見ていた株価と離れた値段で成立することがあります。また、1日の売買代金が小さく板が薄い銘柄では、少ない株数でも価格が飛びやすくなります。こうした場面では、まず指値で出して様子を見るほうが、結果の読める発注になります。

指値が約定しなかったときはどうする?

😮‍💨
指値で出したけど、1日中ずっと未約定のままだった…

未約定の指値注文は、執行条件で指定した期限(本日中なら当日の取引終了時点)を過ぎると自動的に失効します。翌日も同じ条件で買いたいなら、あらためて発注し直す必要があります。

ここで気をつけたいのは、約定しないことに焦れて指値をじりじり切り上げてしまうことです。もともと「この値段までなら出す」と決めて指値を選んだはずなので、価格を追いかけ始めた時点で、指値を使った意味がなくなります。上限を動かすなら、その場の値動きではなく、決め方そのものを見直したときにする——このルールを先に決めておくと、注文画面の前で判断がぶれません。

なお、「この価格まで下がったら売る」といった、条件に到達した時点で自動的に発注される注文方法も各社に用意されています。成行と指値の使い分けに慣れてきたら、次の段階として調べてみるとよい仕組みです。

最初の1回はどう出すのが無難?

操作に慣れることが目的なら、売買代金が大きく板が厚い銘柄を、最小単位の株数で、指値で出してみるのが確認しやすい方法です。指値なら約定価格が事前に分かるため、注文が板に並ぶ様子・約定した瞬間・約定しなかった場合の失効まで、一連の流れを想定内で見届けられます。

そのうえで「価格より成立を優先したい」場面が出てきたときに、成行を選べばよい。順番としては、価格が読める指値から入り、成行はその後で使う——このほうが、想定外の約定に驚かずに済みます。

投資は自己責任であり、元本が保証されるものではありません。本記事は注文方法のしくみと操作手順を解説する教育目的の内容で、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。実際の注文ルールや画面の表記は証券会社によって異なるため、利用する会社の公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。

よくある質問

成行注文と指値注文はどちらが先に約定しますか?

成行注文が先に約定します。取引所の価格優先の原則により、価格を指定しない成行注文は「最も安い売り・最も高い買い」として扱われるため、どの指値注文よりも優先して約定します。成行注文どうしが競合した場合は、先に出された注文が優先されます。

成行注文で想定外の価格になるのはどんなときですか?

板が薄い(売買が少ない)銘柄を扱うときと、寄り付き直後(その日の取引が始まった直後の時間帯)や決算発表の直後など価格が大きく動いている時間帯です。成行注文は板に並んでいる相手方の価格で成立するため、近い価格に十分な注文がなければ、離れた価格まで約定が進むことがあります。

指値注文を出したのに約定しないのはなぜですか?

指定した価格に株価が到達しなかったためです。指値の買い注文は指定価格以下、売り注文は指定価格以上でなければ約定しません。有効期限(本日中など)を過ぎた未約定の注文は自動的に失効するため、翌日も同じ条件で売買したい場合は、あらためて発注し直す必要があります。

注文画面で成行と指値はどこで選びますか?

多くのネット証券では、銘柄と株数を入力した後の「注文方法」欄に成行と指値がラジオボタン等で並んでいます。指値を選んだときだけ価格の入力欄が有効になり、そのあとに執行条件(本日中・今週中など)と市場を確認して、注文確認画面から発注する流れが一般的です。

※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。