ETFの買い方は投信と何が違う?確認すべき3つの費用
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ETFは証券取引所に上場しているため、取引時間中は株式と同じように市場価格を見ながら指値注文・成行注文で売買できます。1日1回の基準価額で約定し注文時に価格が分からない投資信託とは、この発注方式が根本的に異なります。購入前に確認すべきは、目論見書(その商品の内容と費用を発行元が説明した書面)に年率で記載される信託報酬と諸費用を含めた経費率、そして過去実績にすぎない分配金利回りの3点です。
投資信託の買付画面は「金額を入れて確定」だけで済みます。一方でETFの発注画面には、株数・注文方法・執行条件といった欄が並びます。この差は画面デザインの違いではなく、ETFが証券取引所に上場している商品だからです。
正直なところ、ここを理解しないまま成行で発注してしまい「思っていた価格と違った」となる人は少なくありません。逆に言えば、投信との違いを一度整理してしまえば、注文画面で迷う要素はほとんどなくなります。
ETFと投資信託は、注文の何が違う?
違いの出発点はひとつだけです。ETFは取引所に上場していて、投資信託はしていない。そこから先の差は、すべてこの一点から派生しています。まず、その派生のしかたを表で見てください。
| ETF | 一般的な投資信託 | |
| 取引の場 | 証券取引所 | 販売会社を通じた申込 |
| 価格 | 取引時間中の市場価格 | 1日1回の基準価額 |
| 注文時の価格 | 見えている(指値可) | 注文時点では不明 |
| 注文方法 | 指値・成行 | 金額または口数の指定 |
上の表は、上から下へドミノのように連鎖しています。取引所で売買されるから価格が刻々と動いて見え、価格が見えるから「この値段で買う」と指定する指値注文(価格を指定する注文)が成立し、指値ができるから入力欄に株数と価格が必要になる——という順番です。ETF(上場投資信託)で使える注文にはもう一つ、価格を市場に委ねる成行注文もあります。
一方、一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されます。注文を出した時点では約定価格が分からない「ブラインド方式」です。投信の画面に指値欄がないのは省略されているからではなく、指定する価格がまだこの世に存在しないからです。
この違いは、そのまま向き不向きにつながります。自分で売買タイミングを判断したくない、積立を淡々と続けたいという人は投資信託が合っています。取引時間中に自分の判断でタイミングを選んで売買したい人にはETFが向いています。どちらが優れているかではなく、自分がタイミングを判断したいかどうかで選ぶ話です。
ETFのコストはどこを見る?信託報酬と経費率
ETFは一般に、投資信託より信託報酬(運用管理費用)が低めに設定される傾向があります。理由ははっきりしていて、一般的な投資信託が運用会社・販売会社・信託銀行の3者に信託報酬を配分するのに対し、ETFには「販売会社が受け取る信託報酬」がないためです。
信託報酬は保有している間、純資産総額に対して信託財産から日々差し引かれます。毎日公表される基準価額にすでに反映されているので、別途どこかへ支払う手続きはありません。気づかないうちに引かれている費用だからこそ、買う前に率を確認する意味があります。
料率は銘柄ごとに異なり、目論見書——その商品の運用方針や費用を発行元が説明した書面——に年率で記載されています。ただしこの書面は原則として半年に1度改版されるため、購入前には最新版を確認してください。直近の信託報酬率は運用会社のサイトで確認するのが確実です。
- 信託報酬(年率)——保有中に日々差し引かれる基本コスト
- 経費率(TER)——信託報酬に加え、その他運用に伴う諸費用を合計した実質的な年間コスト
- 直近分配金と分配金利回り——ただし過去実績であることを前提に見る
信託報酬だけを比べて「こちらが安い」と判断すると、諸費用まで含めた実際の負担を見落とすことがあります。経費率(TER: Total Expense Ratio)は、その諸費用まで含めたファンドの実質的な年間コストを指す用語です。可能なら信託報酬だけでなく経費率まで確認しておくのが望ましい形です。
分配金利回りはどう読めばいい?
公表されている分配金利回りは、過去の実績に基づいて計算された数値です。将来の分配や利益を保証するものではありません。銘柄選びの際に「直近分配金」と「分配金利回り」を確認するのは有効ですが、その数字は「これまでこうだった」という記録であって、来年の約束ではありません。
組み入れ資産からの収益が減れば分配金も減りますし、市場価格が上下すれば同じ分配額でも利回りの見え方は変わります。利回りの数字だけを並べて高い順に選ぶ、という使い方には無理があります。
「毎月決まった額を自動で積み立てて、あとは見ない」という運用をしたい人には、ETFの発注手順はむしろ手間になります。取引時間中に注文を出す必要があり、株数単位のため金額をぴったり合わせることも難しいからです。その場合は投資信託のほうが目的に合っています。ETFの機動性は、タイミングを自分で判断したい人にとっての利点です。
ETFの買付は、どんな手順で進む?
ここからは実際の発注の流れです。証券口座の画面構成は会社によって異なりますが、入力する項目そのものは共通しています。
- 銘柄を決めて、目論見書を開く証券コードで銘柄を検索し、信託報酬・経費率・直近分配金を確認します。半年に1度改版されるため、最新版かどうかも見ておきます。
- 取引時間中に発注画面を開くETFは取引所で売買されるため、注文が成立するのは取引時間中です。時間外に出した注文は次の取引開始まで待つことになります。
- 株数を入力する投資信託のような金額指定ではなく、売買単位に沿った株数で入力します。市場価格×株数が概算の約定金額になります。
- 指値か成行かを選ぶ「この価格以下で買いたい」なら指値、「価格より確実に約定させたい」なら成行です。指値は指定価格に届かなければ約定しません。
- 注文内容を確認して発注する銘柄・株数・価格・注文方法を確認して発注します。指値の場合は、約定するまで注文が残っている状態になります。
投信との実務上の違いが最も出るのは、4番目の指値か成行かという選択です。投資信託では発生しない判断が、ETFでは毎回発生します。
初心者が最初につまずくのはどこ?
銘柄選びを誤ると、「買いたい価格で買えない」「売りたい時に売れない」という状態に遭遇します。証券会社の取引画面には「板(いた)」——いくらで何株の買い注文・売り注文が出ているかを価格帯ごとに並べた一覧——が表示されます。取引が少ない銘柄では、この板に注文がまばらにしか並ばず、指値がなかなか約定しなかったり、成行で想定と離れた価格で約定したりすることがあります。
これを避ける最短ルートははっきりしていて、まずは時価総額が大きく取引が活発な銘柄を選ぶことです。取引参加者が多い銘柄ほど板に注文が厚く並び、意図した価格に近いところで売買しやすくなります。
- 取引が活発か(板に注文が厚く並んでいるか)
- 信託報酬と経費率が、同じ対象を扱う他の銘柄と比べて妥当か
- 分配金の実績は「過去の記録」として見ているか
- そもそも自分は、タイミングを判断したいのか放置したいのか
最後の項目が実は一番大事です。ETFの手順を一通り知ったうえで「やっぱり自動積立のほうが自分に合う」と判断するのも、立派な結論です。知ってから決めれば、どちらを選んでも納得感が残ります。
投信からETFへ切り替えるべき?
切り替えるべきかどうかを決める材料は、コストの多寡だけではありません。信託報酬の差は年率で表示される小さな数字ですが、そのために毎回自分で発注して指値を判断する手間が増えます。その手間を「自分でタイミングを選べる自由」と感じるか、「面倒」と感じるかで答えが変わります。
また、両方を持ってはいけない決まりもありません。積立の土台は投資信託で続けながら、機動的に動かしたい部分だけETFで持つ、という形も取れます。ETFを知ることは、投信をやめることとイコールではありません。
発注画面の項目は、どれも「価格を自分で決められる商品だから必要な入力」です。そこが腑に落ちれば、あとは実際の板を眺めながら慣れていく段階になります。
本記事は教育・情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・商品の推奨や投資助言ではありません。投資は自己責任であり、投資判断はご自身の責任で行ってください。投資には元本割れの可能性があり、元本保証はありません。利回りや将来の収益が保証されるものでもありません。記載の制度・料率・商品内容は変更される場合があるため、実際の取引前に必ず最新の目論見書および運用会社・証券会社の公表情報をご確認ください。
よくある質問
ETFと投資信託の一番大きな違いは何ですか?
価格が決まるタイミングです。ETFは証券取引所に上場しているため取引時間中の市場価格でリアルタイムに売買でき、指値注文・成行注文が使えます。一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額で取引され、注文時点では約定価格が分からないブラインド方式のため、指値・成行という概念自体がありません。
ETFの信託報酬はどこで確認できますか?
信託報酬の料率は銘柄ごとに異なり、商品の運用方針や費用を説明した書面である目論見書に年率で記載されています。目論見書は原則として半年に1度改版されるため、直近の料率は運用会社のサイトで確認するのが確実です。信託報酬は保有中に純資産総額から日々差し引かれ、毎日公表される基準価額に反映済みのため、別途支払う手続きはありません。
経費率(TER)と信託報酬は同じものですか?
別のものです。経費率(TER: Total Expense Ratio)は、信託報酬に加えてその他運用に伴う諸費用を合計した、ファンドの実質的な年間コストを指す用語です。信託報酬だけを比較すると諸費用分を見落とすことがあるため、経費率まで確認するのが望ましいとされます。
ETFの分配金利回りは将来も同じ水準がもらえますか?
いいえ。公表されている分配金利回りは過去の実績に基づいて算出された数値であり、将来の分配や利益を保証するものではありません。組み入れ資産からの収益や市場価格の変動によって、分配金額も利回りの見え方も変わります。銘柄選びの参考にはなりますが、約束された利回りとして扱うことはできません。
※記事で使用した内容・数値は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。