英語の多読とは?レベル別の始め方
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多読とは、辞書なしでも十分理解できるやさしい英語の本を、楽しく素早く読むことです。始め方の核心は「辞書を引かない・わからない所は飛ばす・つまらなければやめる」の三原則と、YL(読みやすさレベル)0〜1の絵本や段階別読みもの(Graded Readers)から入ることの2点です。YL0〜1で10〜25万語、YL1〜2で25〜50万語、YL2〜3で50〜100万語という語数の目安を持てば、次に何を読むか迷わずに進めます。
英語の本が続かない原因のほとんどは、意志の弱さではなく本のレベル選びです。辞書を引かないと意味が取れない本は、そもそも多読の教材ではありません。多読で使う本は「辞書なしでも十分に理解できるやさしい英語の本」と定義されています(Extensive Reading Foundation)。つまり、続かなかったのは本が難しすぎただけ、という場合が非常に多いのです。
ここでは、どのレベルの本から手に取り、どの順で語数を積み上げていくかを、具体的な指標つきで整理します。
多読とは何をする学習法?
多読は、やさしい英文を大量に読むことで英語を体に入れていく学習法です。ポイントは「読む量」であって「1冊の理解度100%」ではありません。精読が1文を辞書と文法書で解剖する作業だとすれば、多読はわかる部分をつなげて物語を追いかける読み方です。
イメージしやすい例で言うと、日本語の小説を読むときに、知らない熟語が1つ出てきても辞書は引かずに読み進めますよね。前後から意味が推測できるか、大筋に影響しないと判断しているからです。あの状態を英語でつくるのが多読です。そのためには、知らない語が「たまに1つ」程度に収まるレベルの本が必要になります。
多読の三原則
SSS式多読では、酒井邦秀氏が『快読100万語!ペーパーバックへの道』(ちくま学芸文庫、2002年6月)で提唱した三原則が知られています。
- 辞書を引かない(=辞書なしで理解できる本を選ぶ)
- わからないところは飛ばす(わかる部分をつなげて読み進める)
- つまらなくなったら、その本はやめる
3つ目の「やめていい」が、実は継続の要です。合わない本を義務感で読み切ろうとして止まるより、棚に戻して次を開くほうが総語数は伸びます。買った本を最後まで読む習慣がある人ほど、ここは意識して手放す練習が要ります。
最初の1冊はどのレベルから選べばいい?
本選びの目安になるのがYL(Yomiyasusa Level/読みやすさレベル)です。SSS英語多読研究会が定めた、日本人の大人向けの読みやすさ指標で、0.0〜9.9程度の数値で示され、数値が小さいほど読みやすいことを表します。出版社ごとにレベル表記がバラバラなので、YLという共通のものさしで横断的に比べられるのが利点です。
入口として名前が挙がることが多いのが、Oxford Reading Tree(ORT)という絵本教材です。Stage1がYL0.1程度など、シリーズ内でYLが段階的に設定されています。図書館の多読コーナーではYLごとに色シールで棚を区分している例もあります(鳥取県立図書館)。
Graded Readers(段階別読みもの)という選択肢
絵本の次に来るのが Graded Readers です。英語を母語としない大人の学習者向けに作られた教材で、レベルごとに使用語彙と文法が制限されています。レベルが上がるにつれて制限が減り、より自然な英語表現へ近づいていく設計です。
| 主なシリーズ | Oxford Bookworms、Penguin Readers、Macmillan Readers、Cambridge English Readers、Scholastic ELT Readers、Black Cat/Green Apple など |
|---|---|
| レベル表記 | 出版社ごとに独自基準。比較するときはYLなど共通指標に置き換えるのが実務的 |
| 始め方のコツ | 付属音声で「聴きながら読む」、絵本から始めて徐々に長い作品へ、興味のあるタイトルを優先 |
NPO多言語多読の公表情報をもとに作成
「興味のあるタイトルを優先」は精神論ではなく、三原則の3つ目と直結しています。つまらなければやめてよい以上、最初から面白いと思えるものを選んだほうが読了率が上がります。
どこまで読めば次のレベルに上がれる?
多読では冊数ではなく累計語数で進み具合を測ります。同じレベルにどれくらい留まるかの目安として、次の整理が広く使われています。
| YL 0〜1 | 10〜25万語 |
|---|---|
| YL 1〜2 | 25〜50万語 |
| YL 2〜3 | 50〜100万語 |
岐阜県図書館「英語多読100万語へのモデルコース」ほか多読関連資料をもとに作成
上の表を見ると、YL0〜1という一番やさしい帯だけで10〜25万語を使います。ここを短縮したくなりますが、レベルを上げすぎると辞書が必要になり、三原則の1つ目が破れて失速します。先へ進む条件は「読みたくなる」ことであって「そろそろ物足りない気がする」ことではありません。
そして「100万語」は、SSS式多読で節目としてよく語られる目安です。ここを通過すると読める本の幅が大きく広がるとされています。岐阜県図書館が公開しているモデルコースも、ORTと絵本を中心にYL3.0以下で100万語を読む道筋を示しています。難易度を上げずに量で到達できる設計になっている、という点は覚えておく価値があります。
自分のレベルはどう見当をつける?
手持ちの指標がない場合は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を大まかな地図として使えます。CEFRは語学力をA1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階で評価する国際基準で、A系が「基礎段階」、B系が「自立段階」、C系が「熟達段階」にあたります。
教育系サイトの整理では、A1〜A2は基本的な生活会話・短文が中心で中学英語レベル、B1〜B2はニュースやビジネス・学術系の初歩的内容も理解できる高校〜大学受験レベル(TOEIC700点台程度)とされています。多読を始める側から見ると、A1〜A2の自覚があるなら絵本とYL0台から、B1前後の自覚があってもYL1台から入って構いません。自分の実力より1段やさしいところから始めるのが多読の作法です。
読みながら音も一緒に入れたい場合は、Graded Readersの付属音声で「聴きながら読む」練習が推奨されています。目で追う速度と音の速度が揃うので、読み返し癖の矯正にもなります。
3ヶ月後にTOEICや入試が控えていて、そのスコアだけが目的という状況では、多読は最優先の手段になりません。多読は語数を積むほど効いてくる長期型の学習で、出題形式への対策は別に必要だからです。試験が近いなら公式問題集や過去問を軸に据え、多読は終わったあとの土台づくりとして再開するほうが噛み合います。
また、文法の骨格が中学範囲でも曖昧なままだと、YL0台の絵本でも「わかる部分をつなげる」ことができず飛ばしてばかりになります。その場合は薄い文法書を1冊通しつつ、並行して絵本を読むのが現実的です。
忙しい人と時間がある人、どう組み立てる?
多読は時間の量よりも、手に取るまでの摩擦の少なさで続き方が変わります。可処分時間の条件はそれぞれ違うので、2つの型に分けて考えます。
- 細切れ時間しか取れない場合1冊が短いものだけを持ち歩きます。ORTのような絵本教材やGraded Readersの下位レベルは、1冊が数分〜十数分で読み切れます。通勤や休憩の10分で「1冊読み終えた」という完了感が得られるレベルを選ぶのが要点で、長編を細切れに読むと前回の内容を忘れて失速します。
- まとまった時間が取れる場合長期休みや学生の空き時間など、腰を据えられるなら1回30〜60分の連続読書を軸にします。同じシリーズを続けて読むと語彙と文体が繰り返されるため、語数の伸びが早くなります。累計語数を記録しておくと、上のレベル別語数表と照らして現在地がわかります。
- 費用を抑えるGraded Readersは1冊単位で買うと積み上がるので、まず図書館の多読コーナーを確認します。YLごとに色シールで区分している図書館もあり(鳥取県立図書館の例)、レベル選びごと解決します。学生や、書籍費を抑えたい人ほどここから入るのが合理的です。
記録は語数だけで十分です。読んだ日付・タイトル・語数の3項目をメモしておけば、次に何を選ぶかの判断材料になります。感想やわからなかった単語を書き留める必要はありません(辞書を引かないので、そもそも書けません)。
最初の1週間でやること
- 図書館の多読コーナー、または書店の洋書棚でYL0〜1の本を3冊選ぶ
- 選ぶ基準は「表紙と中身が面白そうか」。難易度で背伸びしない
- 1冊読んで、辞書を引きたくなったらレベルを下げる合図と考える
- 読んだ語数だけをメモに残す(本の裏表紙や書誌情報に語数の記載があるものが多い)
- つまらなければ途中でやめて次の本へ。これは失敗ではなく作法
やさしすぎる本から始めることに抵抗を感じるかもしれませんが、辞書なしで最後まで読めた経験が積み上がることこそが、多読が続く唯一の仕組みです。まずは絵本を1冊、最後まで読み切るところから始めてみてください。
よくある質問
英語の多読とは何ですか?
多読とは、辞書なしでも十分に理解できるやさしい英語の本を、楽しく素早く大量に読む学習法です。1文ずつ精密に解釈する精読とは異なり、わかる部分をつなげて内容を追いながら読み進めます。
多読の三原則とは何ですか?
①辞書を引かない ②わからないところは飛ばす ③つまらなくなったらその本はやめる、の3つです。酒井邦秀氏が『快読100万語!ペーパーバックへの道』(ちくま学芸文庫、2002年6月)で提唱したもので、SSS式多読の基本方針とされています。
YLとは何の指標ですか?
YL(Yomiyasusa Level/読みやすさレベル)は、SSS英語多読研究会が定めた日本人の大人向けの読みやすさ指標です。0.0〜9.9程度の数値で示され、数値が小さいほど読みやすいことを意味します。出版社ごとに異なるレベル表記を横断的に比較するのに使えます。
多読は何語くらい読めば効果が出ますか?
SSS式多読では100万語が一つの節目の目安として広く言及され、通過すると読める本の幅が大きく広がるとされています。レベル別の目安としては、YL0〜1で10〜25万語、YL1〜2で25〜50万語、YL2〜3で50〜100万語という進め方が知られています。
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