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副業の法人化はいくらから?所得800万円が目安の理由

2026年8月1日|いろは堂副業編集部
税務書類とスマートフォンの電卓、クリップが並ぶ机の上

画像出典: Leeloo The First / Pexels

この記事の要点
副業の法人化を検討し始める目安は、課税所得で年800万〜900万円あたりとされています。個人の所得税は課税所得900万円超で税率33%になる一方、中小法人の法人税は所得800万円以下の部分が15%、超える部分が23.20%です(令和7年4月1日現在の法令等)。ただし法人は赤字でも法人住民税均等割が年7万円程度かかり、社会保険や税理士費用を含めると年間数十万円規模の維持費が発生するため、税率差だけで決める判断ではありません。
🤔
副業の利益がけっこう増えてきた。そろそろ会社にしたほうが得なのかな…でも何を基準に決めればいいのか分からない

法人化の判断でまず見るのは「利益の水準」です。よく語られる目安は、副業の課税所得が年800万〜900万円を超えたあたり。この帯で個人の所得税率と法人の税負担が逆転しやすいからです。

ただ、正直なところ税率の比較だけで決めると失敗します。法人には、利益が出ていない年でも消えないコストがあるからです。順番に、数字で見ていきます。

副業の法人化を考え始める目安はいくらから?

一般に紹介されている目安は、副業の課税所得が年間800万円〜900万円を超えるあたりです。解説の出どころによって「800万円超」とするものと「900万円以上」とするものがあり、ひとつの数字にはまとまっていません。つまり800万〜900万円という「帯」で捉えるのが実態に近いということです。

ここで言う「課税所得」は、売上ではありません。売上から経費や控除を引いたあとの、税金の計算対象になる金額です。副業の売上が900万円あっても、経費が400万円なら課税所得はその帯には届きません。目安を自分に当てはめるときは、まず売上ではなく所得の数字を用意してください。

目安を自分に当てはめる前に確認すること
  • 見ているのは売上ではなく「課税所得」か
  • その水準が単年の跳ね上がりではなく、来年以降も続きそうか
  • 本業の会社の規定で副業・役員就任が禁止されていないか

なぜ800万〜900万円が分かれ目になるのか?

理由は、個人と法人で税率の上がり方がまったく違うからです。個人の所得税は累進課税で稼ぐほど税率が上がっていくのに対し、資本金1億円以下の中小法人の法人税は上がり方がゆるやかで、しかも上限があります。それぞれの税率を並べると、こうなります。

課税所得の帯個人の所得税率中小法人の法人税率
695万円超〜800万円以下23%15%
800万円超〜900万円以下23%23.20%
900万円超33%23.20%

国税庁タックスアンサー(No.5759 法人税の税率)ほかの公表データをもとに作成。法人税率はその帯に含まれる所得部分に適用される税率です

個人は課税所得695万円を超えると23%、900万円を超えると33%へと段が上がっていきます。対して中小法人は、800万円以下の部分が15%、それを超えた部分でも23.20%で止まります(令和7年4月1日現在の法令等)。

階段の上がり方が違うので、所得が増えていくとどこかで追い越しが起きます。その交差点が、だいたい課税所得900万円前後に来る——これが「800万〜900万円が目安」と言われる中身です。所得税率だけでなく住民税や社会保険の扱いも絡むため、実際の交差点は人によって前後します。

😲
33%と23.20%なら、差はけっこう大きいですね

税率の差は、法人化で動く数字の一部にすぎません。法人にすると税率以外の出入りが同時に発生します。ここを飛ばすと計算が合いません。

法人化のメリットは税率だけではない

法人化で語られる利点は、税率差のほかにもいくつかあります。

  • 給与所得控除を使える。自分に役員報酬を出すと、その報酬に給与所得控除が効きます。同じ利益でも課税対象が圧縮できる余地が生まれます。
  • 赤字の繰越期間が長い。個人事業より長期にわたって赤字を繰り越せます。年ごとの浮き沈みが大きい事業では効きます。
  • 社会的信用度が上がる。取引先によっては法人でないと契約しない、という場面があります。
  • 消費税の免税期間を活用できる余地がある。設立のタイミング次第で扱いが変わります。

たとえば副業の課税所得が1,000万円あり、そのうち一部を自分への役員報酬として出した場合、その報酬は給与として扱われるため給与所得控除の対象になります。個人事業のままなら、この控除枠は使えません。同じ利益でも、法人を通したほうが課税の対象を小さくできる余地が生まれるということです。

もうひとつ大きいのが取引の幅です。「法人としか取引しない」と言われて案件を逃した経験がある人にとっては、法人化そのものが受注できる案件の母数を増やします。単価の高い企業案件ほど法人限定の条件が付きやすく、税率以上に効いてくる場面があります。

ただし役員報酬を出せば社会保険料の負担も同時に動くため、手取りがいくら増えるかは個別計算が必要です。控除だけを見て得と判断しないでください。

法人化にかかるコストと手間はどれくらい?

ここが判断の本丸です。法人には、利益がゼロでも消えないコストがあります。

法人になると継続的に発生するもの
  • 設立時の登記費用(初年度の一時費用)
  • 法人住民税の均等割 — 赤字でも発生。年間最低7万円程度が一般的な目安
  • 社会保険への加入義務にともなうコスト
  • 税務申告の複雑化と、それにともなう税理士費用

これらを合計すると、年間数十万円規模の維持費が毎年かかることになります。個人事業なら、極端な話ゼロの年があっても費用は生じません。この差が、法人化の判断を「税率の比較」から「事業としての体力の判断」に変えます。

手間の面も同じです。法人の決算・申告は個人の確定申告より工程が多く、多くの場合は税理士に依頼することになります。自分で全部やる前提では組みにくい、と考えたほうが現実的です。

法人化しないほうがいいケースもあります

所得が目安の帯に届いていても、その年だけ大口案件が入ったといった一時的な跳ね上がりなら、法人化は急がないほうが無難です。法人は作るのも畳むのも手間とお金がかかるため、翌年に所得が戻ると維持費だけが残ります。また、本業の会社の規定で副業や役員就任が禁止されている場合は、そもそも法人化以前の問題です。就業規則を先に確認してください。

利益以外に確認すべき判断基準は?

法人化の可否は、利益水準に加えて次の3点も併せて判断すべきとされています。

  1. 本業の会社の規定を確認する就業規則で副業そのものが禁止されていないか、役員就任が禁止されていないかを確認します。法人の代表者になることは「役員就任」にあたるため、副業OKでも役員就任NGという規定に引っかかる場合があります。
  2. 年間数十万円の維持費を許容できるか計算する均等割・社会保険・税理士費用を足した金額を、いまの副業の利益から毎年引いても事業が回るかを確認します。ここが赤字になるなら時期尚早です。
  3. 3〜5年以上の継続見込みがあるかを見る短期で畳む前提の事業とは相性が悪いのが法人です。少なくとも数年は続く見通しが立っているかを判断材料にします。

この3つを通過して、なおかつ課税所得が800万〜900万円の帯に安定して乗っているなら、税理士に個別のシミュレーションを依頼する段階です。ここから先は、役員報酬をいくらに設定するか、設立時期をいつにするかで結論が変わるため、一般論では詰め切れません。

まだ目安に届いていない人は何をすればいい?

課税所得が帯に届いていない段階でやることは、法人化の検討ではなく数字を把握できる状態を作ることです。

  1. 売上と経費を毎月記録する会計ソフトでも表計算でも構いません。年に一度まとめて思い出す方式だと、そもそも自分の課税所得がいくらか分からず、目安に当てはめようがありません。
  2. 確定申告を毎年きちんと済ませる青色申告にしておくと控除や赤字繰越の面で有利になります。法人化を将来考えるなら、事業としての帳簿が残っていること自体が土台になります。
  3. 年ごとの所得の推移を見る単年ではなく2〜3年の並びで見ると、「伸びているのか、たまたまなのか」が判断できます。法人化のタイミング判断は、この推移で決まります。

これから副業を始める人が、最初の1案件までにやること

そもそもまだ受注実績がない段階なら、法人化の話は先です。最初の1件までは、次の順番で進めるのが最短になります。

  1. 提供できることを1行で書き出す「LP制作ができる」「Excelの集計を自動化できる」など、本業や趣味で人より少しできることを具体的な作業名にします。分野を広く名乗るより、作業名で言えるほうが依頼されます。
  2. 見せられる成果物を1〜2点つくる実績がないうちは、架空の依頼を想定した制作物で構いません。案件獲得の分かれ目は、市場が求める技術力を成果物で示せるかどうかだと指摘されています。
  3. 小さい案件を1件だけ受けるクラウドソーシングや知人経由で、単価より「完了させること」を優先して1件やり切ります。納品まで通した経験が、次の提案での説得力になります。
  4. 受けた相手に継続を提案する新規開拓より、一度取引した相手への追加提案のほうが成約しやすいのが実情です。ここから所得が積み上がり、やがて法人化の帯に近づいていきます。
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いまの自分がどの段階にいるか、はっきりしました

法人化は、副業がうまくいった人が最後に通る道です。焦って先回りするより、所得の数字を毎年見られるようにしておけば、その帯に近づいたときに自分で気づけます。知ってから決めればいい話です。

※本記事の税率・目安は2026年7月時点で確認した公表情報に基づく一般的な説明です。実際の税負担や有利・不利は所得構成や家族構成、事業内容によって変わります。具体的な判断は税理士など専門家にご相談ください。

よくある質問

副業の法人化は年収いくらから考えればいい?

目安として一般に紹介されているのは、副業の課税所得が年間800万円〜900万円を超えるあたりです。ここで言うのは売上ではなく、経費や控除を引いたあとの課税所得です。解説によって「800万円超」「900万円以上」と幅があるため、ひとつの数字ではなく帯として捉えるのが実態に近い考え方です。

法人にすると税率はどれくらい変わる?

資本金1億円以下の中小法人の法人税は、年800万円以下の所得部分が15%、800万円を超える部分が23.20%です(令和7年4月1日現在の法令等)。一方、個人の所得税は累進課税で、課税所得695万円超で23%、900万円超で33%となります。このため課税所得900万円前後を境に、法人のほうが税率面で有利になりやすくなります。

法人化すると毎年いくらコストがかかる?

法人は赤字の年でも法人住民税の均等割が発生し、年間最低7万円程度が一般的な目安とされています。これに加えて社会保険加入にともなうコスト、税務申告の複雑化による税理士費用がかかり、合計で年間数十万円規模の維持費が継続的に発生します。この維持費を許容できるかが実務上の判断基準のひとつです。

会社員でも副業を法人化できる?

制度上は可能ですが、勤務先の就業規則の確認が先です。法人の代表者になることは役員就任にあたるため、副業自体は認められていても役員就任が禁止されているケースがあります。法人化の判断基準としては、利益水準に加えて「会社の規定で副業・役員就任が禁止されていないか」「年間数十万円の維持費を許容できるか」「3〜5年以上事業を継続する見込みがあるか」が挙げられています。

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