Siri AIの仕組み、iOS27で画面と個人データをどう読む?
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
Appleは2026年9月14日、Apple Intelligenceを刷新した新しいSiri「Siri AI」を発表し、iOS 27は翌9月15日に一般リリースされました。端末内のメッセージ・メール・写真を横断して探し、いま見ている画面の内容を読み取って地図やカレンダーなど他アプリを操作できるのが中核です。ただし2026年9月14日時点では英語のみのベータ提供で、EUのiPhone・iPadでは提供されず、日本語は2026年10月中の追加予定とされています。
これまでのSiriは、決まった言い回しを受け取って決まった機能を呼び出す仕組みが中心でした。天気を聞けば天気アプリ、タイマーと言えばタイマー。頼めることの一覧が、あらかじめ決まっていたわけです。
Siri AIで変わったのは、Siriが「いま画面に何が出ているか」と「あなたの端末に何が入っているか」を手がかりにできるようになった点です。頼みごとの言い方ではなく、状況そのものを材料にする。ここが従来との分かれ目になります。
正直なところ、今すぐ日本で全部が使えるわけではありません。何ができるようになったのかというしくみの話と、英語限定・EU未提供という現時点の線引きを、順番に見ていきます。
Siri AIとは? 発表と提供状況をまず整理
Appleが次世代のApple Intelligenceを搭載した新しいSiri「Siri AI」を発表したのは、2026年9月14日です。搭載先はiOS 27・iPadOS 27・macOS 27・watchOS 27・visionOS 27で、iOS 27そのものは翌2026年9月15日に一般リリースされました。
今回のSiriには専用アプリが新設されました。会話履歴はiCloud経由でiPhone・iPad・Mac・Apple Watch・Vision Proのあいだで同期されるため、iPhoneで始めた会話をMacで続ける、といった使い方ができます。Siriが「その場の一問一答」から「続きのある相手」に寄ったと考えるとイメージしやすいはずです。
- パーソナルコンテキスト — 端末内の個人データを横断して探す
- オンスクリーン・アウェアネス — いま見ている画面の内容を理解する
- システムワイド・アプリアクション — 既に使っているアプリを横断して操作する
Siri AIは何を手がかりに動いている?
この三本柱が、それぞれどんなしくみなのかを順に見ていきます。
個人データをどう理解している?(パーソナルコンテキスト)
パーソナルコンテキストとは、メッセージ・メール・写真といった端末内のデータをSiriが横断的に検索して、頼みごとの材料にするしくみのことです。検索窓にキーワードを打ち込むのではなく、依頼の文の中にある手がかりから、必要なデータのほうをSiriが探しにいきます。
Appleが挙げている例が分かりやすいので、そのまま場面で追ってみます。「家族が提案した活動」を尋ねると、Siriはメッセージのやり取りから共有されたレシピを見つけ、関連するメールから調理手順を抽出し、材料をリマインダーに自動で追加します。探す・読み取る・別のアプリに書き込む、という三段階がひと続きの依頼で走るのがポイントです。
従来なら、メッセージを遡ってレシピを探し、メールを開いて手順を確認し、リマインダーに材料を打ち込む、という三つの作業を自分でやっていました。Siri AIはこの往復を引き受ける役回りになります。
画面の内容をどう読み取っている?(オンスクリーン・アウェアネス)
もうひとつの柱が、ユーザーがいま見ている画面のテキストやウェブページの内容を理解するしくみです。Siriに「これ」と伝えるために、住所をコピーしたり画面を説明したりする必要がなくなります。
Appleと報道が挙げている例は二つあります。ひとつは、メッセージに住所が表示されている場面。そこで「そこまでの道順を出して」と頼めば、地図アプリで経路が検索され、あるいは予定表にその場所を追加できます。
もうひとつは、スポーツチームの公式サイトを開いている場面です。「ホームゲームを全部カレンダーに入れて」と頼むと、画面上の試合日程を読み取って、カレンダーに一括登録されます。画面が「指示の対象」そのものになる、という変化です。
他アプリをどう動かしている?(システムワイド・アプリアクション)
三つ目の柱は、Siriが自分の中だけで完結せず、すでに使っているアプリの操作を横断して実行できる点です。メールの下書きを作る、写真を編集して共有する、会話の内容を別の用途に変換する、といった操作が対象になります。
対応アプリとして提供済みなのがWhatsAppとAudible。今後Outlook、Notability、Tripsyなどが対応予定とされています。つまり現時点の対応範囲はまだ限定的で、手持ちのアプリが全部つながるわけではありません。
アプリアクションは、対応したアプリにしか届きません。発表時点で名前が挙がっているのは提供済みの2本と予定の3本です。普段使っている業務アプリがそこに含まれていなければ、今までどおり自分で開いて操作することになります。
個人データを渡して大丈夫? プライバシーの仕組み
メッセージも写真も読むとなると、その中身がどこへ行くのかが気になるところです。AppleはここにPrivate Cloud Computeというしくみを置いています。端末内での処理と、Apple独自のクラウドサーバーでの処理を組み合わせる方式で、軽い処理は端末で完結させ、高度な処理だけをサーバー側に回す形です。
Appleの説明では、この設計ではAppleを含む第三者が個人データにアクセスできず、処理が終わったデータは保存されません。「クラウドに送る=どこかに残る」という一般的なイメージとは、前提が切り分けられています。
Apple Watchでは別の形も採られています。S11チップを搭載したモデルのAudio Intelligence機能では、Secure Enclaveという専用のハードウェア領域が音声をその場で処理して即座に削除します。OSもアプリもユーザー自身も、そしてApple自身もアクセスできない領域です。音声が外に出る前に、チップの中で用が済んでいる、という設計になります。
使い始めるには? ウェイトリスト登録の手順
iOS 27を入れればすぐ全員が使える、という形ではありません。段階的な展開のため、ウェイトリストへの登録が必要です。
- 対応機種か確認するiPhone 16以降、またはiPhone 15 Pro/Pro Max。ほかにM1以降を搭載したMac、Apple Watch Series 9以降など、Apple Intelligenceのハードウェア要件を満たす機種が対象です。
- iOS 27をインストールするiOS 27は2026年9月15日に一般リリースされています。
- 設定からアクセスをリクエストする「設定」アプリ内のSiri設定を開き、「アクセスをリクエスト」を選んでウェイトリストに登録します。
- 通知を待つ利用可能になり次第、通知が届きます。
今はどこまで使える? 言語と地域の線引き
なぜ英語だけ? 日本語はいつから使える?
2026年9月14日時点で、Siri AIはベータ版として英語のみで提供が始まっています。対応機種を持っていて、ウェイトリストを通っても、日本語で話しかける限りは従来どおりということです。
言語の追加については、2026年10月中にフランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語が加わる予定と報じられています。ただし具体的な日付は未確定で、この予定日そのものが確認の取れていない情報です。日本語で使えるようになる時期は、現時点では「10月中とされているが確定ではない」までしか言えません。
EUで使えないのはなぜ? DMAとの関係
言語とは別に、地域による線引きもあります。2026年6月8日、AppleはEUではiOS 27・iPadOS 27向けにSiri AIを提供しないと発表しました。対象はEU加盟27カ国です。
理由として挙げられているのが、EUのデジタル市場法(DMA、巨大IT企業に他社サービスとの公平な接続などを義務づけるEUの法律)です。Appleは、DMAの相互運用性要件によって競合のアシスタントにも同じレベルの深いシステムアクセスを与えることを強いられる、と主張しています。Siri AIはメッセージや写真まで読むしくみですから、その入口を他社にも開くことになる、という論点です。ユーザーのプライバシーとセキュリティを保ちながら両立させる方法を模索中とされ、解消の時期は未定です。
Craig Federighi氏(Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長)は「我々のEUユーザーがiPhoneやiPadで新しいソフトウェアをリリースする際、Siri AIにアクセスできないことに深く失望している」とコメントしています。
| プラットフォーム | EUでの利用可否 |
|---|---|
| iOS | 不可 |
| iPadOS | 不可 |
| watchOS | 不可 |
| macOS | 可(対応言語設定時) |
| visionOS | 可(対応言語設定時) |
MacObserverの公表データをもとに作成
上の表のとおり、EUでも一律に使えないわけではありません。iPhone・iPad・Apple Watchでは提供されない一方、MacとVision Proでは対応言語に設定していれば利用できます。同じ人が、手元のiPhoneでは使えないのに机の上のMacでは使える、という状態が生まれています。なお中国でも、規制要件への対応中のため現時点では利用できません。
結局、今の日本のユーザーは何をすればいい?
日本はEUの提供除外には含まれていないため、止まっているのは言語の側だけです。英語で使う前提なら、対応機種でiOS 27を入れてウェイトリストに登録しておく、というところまでは今日から進められます。
日本語対応の時期は10月中の予定とされているものの確定していません。対応機種を持っていない場合、今の時点で買い替えを決める材料は揃っていないと考えたほうが妥当です。しくみと制限を知っておいて、日本語が来てから判断しても遅くはありません。
しくみの側から見れば、Siri AIの変化はひとことで言えます。話しかけ方を覚えて機能を呼び出す道具から、状況を読んで手を動かす相手へ、役割が移りました。その前提が分かっていれば、日本語で使えるようになったとき、何を任せられるかの見当がつくはずです。
よくある質問
Siri AIはいつ発表され、いつから使えますか?
Appleは2026年9月14日にSiri AIを発表し、iOS 27は2026年9月15日に一般リリースされました。ただし段階的な展開のため、対応機種でiOS 27をインストールしたうえで「設定」アプリのSiri設定からアクセスをリクエストし、ウェイトリストに登録して通知を待つ必要があります。
Siri AIは日本語で使えますか?
2026年9月14日時点ではベータ版として英語のみの提供です。2026年10月中にフランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語が追加される予定と報じられていますが、具体的な日付は未確定です。
Siri AIはどの機種で使えますか?
iPhone 16以降、iPhone 15 Pro/Pro Max、M1以降を搭載したMac、Apple Watch Series 9以降など、Apple Intelligenceのハードウェア要件を満たす機種が対象です。
EUではなぜSiri AIが使えないのですか?
Appleは2026年6月8日、EUではiOS 27・iPadOS 27向けにSiri AIを提供しないと発表しました。理由はEUのデジタル市場法(DMA)の相互運用性要件で、競合アシスタントにも同レベルの深いシステムアクセスを与えることを強いられるとAppleは主張しています。EUでもmacOS 27とvisionOS 27では対応言語設定時に利用できます。
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