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Opus 5の性能はどう変わった?ベンチマークと使いどころ

2026年8月2日|いろは堂AI編集部

画像出典: Anthropic

この記事の要点
Claude Opus 5(2026年7月24日リリース)はコーディングベンチFrontier-Bench v0.1で前世代Opus 4.8比2倍超(43.3%)、抽象推論テストARC-AGI-3では約20倍(30.16%)を記録し、国際数学オリンピック2026年問題で満点(42/42点)を獲得した。価格はOpus 4.8と同額の入力$5・出力$25/Mトークンで、推論をデフォルトONにするAdaptive Thinkingにより複雑なタスクで高精度が期待できる。複雑なコーディングエージェント・企業向け業務処理・数理科学領域が主な得意分野で、シンプルな質問応答にはコスト面でSonnet 5が適切。
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Opus 5って、数学オリンピックを満点で解いたって本当?前の世代から何がそんなに変わったの?

Anthropicが2026年7月24日にリリースしたClaude Opus 5は、複数のベンチマークで前世代(Opus 4.8)を大きく上回りました。コーディング性能は2倍超、抽象推論は約20倍、国際数学オリンピック2026年問題で満点スコアを記録。

数字の意味と「なぜそうなったのか」が分かると、自分のユースケースへの当てはめ方が見えてきます。

Opus 5で何が変わったか — 数字で見る3つの跳躍

前世代モデルOpus 4.8との比較で、特に大きな変化があったのは3つの領域です。

Opus 5・Fable 5・Opus 4.8の複数ベンチマーク性能比較チャート(Frontier-Bench、ARC-AGI-3、OSWorldなど)
複数ベンチマークでのモデル性能比較(出典: Anthropic

① コーディング性能が2倍超に

エージェント型コーディングを測るFrontier-Bench v0.1(Anthropicが独自に設計したベンチマーク)でOpus 5は43.3%を記録。Opus 4.8の約18〜21%から2倍以上の伸びです。また、コードエディタCursor(開発現場で広く使われるAIコーディングツール)が実際の開発タスクで使うCursorBench 3.2では、最高性能モデルFable 5の0.5%以内のスコアを半額のコストで達成しました。

② 抽象推論が前世代の約20倍に

ARC-AGI-3(見たことのないパターンから推論する力を測る試験)でOpus 5は30.16%を記録。Opus 4.8の1.5%から一気に跳ね上がり、上位モデルFable 5の16.6%も上回りました。この試験は言語知識ではなく「初見のパターンを論理で解く力」を測るため、モデルの汎用推論能力の指標として業界で注目されています。

③ 国際数学オリンピック2026年問題で満点を獲得

ツールを使わない状態で、国際数学オリンピック(IMO)2026年の問題で42点満点(42/42)を獲得しました。数式を「暗記で解く」のではなく、未知の問題に対して論理を積み上げる力の証明として受け止められています。

ベンチマークOpus 5Fable 5Opus 4.8備考
Frontier-Bench v0.1(コーディング)43.3%33.7%≈18.7〜21.1%Anthropic独自・第三者検証なし
CursorBench 3.2(コーディング)Fable 5の0.5%以内参照値半額コストで同等
ARC-AGI-3(抽象推論)30.16%16.6%1.5%次点Fable 5の約1.8倍(2026-07-24時点)
ARC-AGI-197.5%Max推論使用
ARC-AGI-290.4%Max推論使用
OSWorld 2.0(コンピュータ操作)70.57%66.1%55.7%Fable 5をコスト1/3以下で上回る
Zapier AutomationBench(業務自動化)26.0%17.4%17.0%次点の約1.5倍
GDPval-AA v2(知識業務 Elo)186117471593Opus 5がFable 5を上回る
IMO 2026(数学・ツール不使用)42/42(満点)国際数学オリンピック2026年問題
Artificial Analysis Intelligence Index61点(1位)60点(2位)総合インテリジェンス指数

出典: Anthropic

ベンチマークは何を測っているのか

🤔
数字が大きくなったのはわかったけど、それが自分の仕事と何の関係があるの?

各ベンチマークが「何を測っているか」を理解すると、Opus 5が自分のユースケースに合うかどうかが判断しやすくなります。

Frontier-Bench v0.1はAnthropicが設計した独自ベンチで、AIが自律的に複数ステップのコーディングタスクをこなす能力を測ります。第三者機関が検証していないため、スコアはAnthropicの公式発表値として参照してください。

CursorBench 3.2はコードエディタCursorが実際の開発タスクで使うベンチマークです。「現場で使えるか」の指標として信頼性が高いとされています。

ARC-AGI-3は言語知識とは別に「初見のパターンを論理で解く力」を測ります。グリッド上の図形パターンを見て次のパターンを推論するような課題で、暗記や統計的パターンマッチングではなく構造的な理解が必要です。1.5%→30%の跳躍は、この種の推論能力に質的な変化が起きた可能性を示しています。

OSWorld 2.0はAIが実際のPC画面を見てマウス・キーボードを操作する能力を測定します。「ブラウザを開いてフォームを入力して送信する」といった現実の操作で、業務自動化の実用指標として注目されています。Opus 5は70.57%でFable 5(66.1%)を上回りました。

GDPval-AA v2は文書作成・分析などの知識業務における能力をEloレーティング(チェスや囲碁のような相対スコア)で比較します。Opus 5(1861)がFable 5(1747)を上回った点は、知識業務において最高性能モデルより優れている場面があることを意味します。

なぜ強くなったのか — Adaptive Thinkingのしくみ

Opus 5の性能向上の背景にある仕組みがAdaptive Thinking(適応的推論)です。

従来のAIモデルは入力を受け取ってそのまま出力を生成します。Adaptive Thinkingでは、モデルが答えを出す前に「内部で問題を考え直す」ステップを踏みます。数学の問題を解くとき、人間が「まず問題の構造を把握して、解法を選んで、途中で間違いに気づいたら戻る」ように、モデルも推論の過程を内部で展開してから答えを出します。この内部の「考え直し」こそが、難しい問題での精度向上の核心です。

Opus 4.8ではこの機能はオプションで明示的に指定する必要がありましたが、Opus 5ではAdaptive ThinkingがデフォルトでONになりました。推論の深さは「effort」パラメータで5段階(low / medium / high / xhigh / max)に調整できます。デフォルトはhighで、Opus 4.8のデフォルト(xhigh)より軽い設定になっています。

もう一つの特徴が自己検証の自動化です。プロンプトに指示がなくても、Opus 5は自分の出力を自動的に確認・反復する挙動を持ちます。これにより品質は上がりますが、処理時間が長くなることがあります。従来プロンプトに「最後に検証してください」と書いていた場合は削除が推奨されています(二重に検証して無駄なトークンを消費するため)。

Frontier-Bench v0.1でのモデルスコア比較。Opus 5が43.3%でOpus 4.8の約2倍以上を記録
Frontier-Bench v0.1スコア比較(出典: Anthropic

モデルラインナップでの位置づけ — いつOpus 5を選ぶか

Claudeには現在4系統のモデルがあります。価格と得意分野を比較すると、Opus 5の立ち位置が見えてきます。

モデル入力/MTok出力/MTokコンテキスト知識カットオフ
Claude Fable 5$10$501M tokens2026年1月
Claude Opus 5$5$251M tokens2026年5月
Claude Sonnet 5$3(暫定$2 〜8/31)$15(暫定$10 〜8/31)1M tokens2026年1月
Claude Haiku 4.5$1$5200k tokens2025年2月

出典: Anthropic モデル概要(2026年8月2日時点)

注目すべきはOpus 5がFable 5より多くのベンチマークで優れているにもかかわらず、価格はFable 5の半額という点です。知識業務(GDPval-AA v2)、抽象推論(ARC-AGI-3)、コンピュータ操作(OSWorld 2.0)、コーディング(Frontier-Bench)のいずれも、Fable 5を上回るかほぼ同等です。

Fable 5が必要になるのは、数時間にわたる長時間エージェントタスクに特化した用途です。通常のコーディングエージェントや企業向け業務処理ならOpus 5が費用対効果で優位になります。

Opus 5が向いているケース
  • 複数ステップのコーディングエージェント(コード生成・テスト・修正を自律で繰り返す)
  • 数学・有機化学・タンパク質解析など高度な科学的推論
  • 法務・技術仕様書など長文書の処理と分析
  • コンピュータ操作を伴う業務自動化
  • Fable 5に近い精度をより低コストで実現したい場面
向いていないケースもあります

チャットボットや単純な質問応答、短文の要約・分類には、Sonnet 5やHaiku 4.5のほうがコスト効率で大幅に優れます。Adaptive Thinkingにより処理が深くなる分、レスポンスに時間がかかることもあり、リアルタイム性が重要なユースケースには不向きです。また知識カットオフが2026年5月のため、それ以降の出来事は知りません。

APIで使う開発者向け — Opus 4.8からの変更点

Opus 4.8からOpus 5へ切り替える際に確認が必要な変更点です。

  1. 旧Extended thinking APIは非対応Opus 4.8で使えた thinking.type: "enabled" パラメータはOpus 5では使えません。Adaptive ThinkingはデフォルトでONのため、明示的な指定は不要です。
  2. effortデフォルト値の変更Opus 4.8のデフォルトはxhighでしたが、Opus 5ではhighに変更されました。処理深度を調整したい場合はeffortパラメータ(low / medium / high / xhigh / max)で指定します。xhigh/max設定時はThinkingを無効化できない点に注意(thinking.type: "disabled" + xhigh/max → 400エラー)。
  3. Web fetchツールが削除Opus 4.8で利用できたウェブページ取得機能はOpus 5では削除されています。外部情報の取得には別の手段(MCPサーバー——外部のツールやデータソースをClaudeに接続するための仕組み——等)を組み合わせてください。
  4. プロンプトキャッシュの最小長が半減キャッシュが効くトークン数の下限が1,024 tokensから512 tokensに下がりました。短いシステムプロンプトでもキャッシュの恩恵を受けやすくなっています。
  5. 「検証してください」指示の削除を推奨Opus 5がデフォルトで自動的に自己検証するため、「最後に確認してください」などの指示は二重処理になり無駄なトークンを消費します。

安全性の評価結果

AnthropicはAIの安全性評価報告書(システムカード)を各モデルについて公開しています。モデルが有害なコンテンツを生成しないか、指示に意図せず反する行動を取らないかを、第三者評価も交えてまとめたドキュメントです。

Opus 5の誤整合スコア(モデルが意図に反する行動を取るリスクの指標)は2.3で、Anthropicが評価した中で最も低い値——つまり最も安全に整合が取れているモデルという評価です。性能が上がっても安全性が低下していない点は、企業導入を検討する際の材料になります。

よくある質問

Opus 5とFable 5はどちらを選べばいいですか?

多くのベンチマークではOpus 5がFable 5を上回るか同等で、価格はFable 5の半額(入力$5 vs $10/MTok)です。数時間にわたる長時間エージェントタスクを動かすならFable 5、通常のコーディングエージェントや企業向け業務処理ならOpus 5が費用対効果で優位です。

ARC-AGI-3で30%という数字は高いのですか?

ARC-AGI-3(見たことのないパターンから推論する力を測る試験)は非常に難しい試験で、直前世代Opus 4.8のスコアは1.5%でした。Opus 5の30.16%は前世代の約20倍、同テストで次点のFable 5(16.6%)を約1.8倍上回る値で、業界でも注目を集めています。ただし人間の平均スコアは公表されていないため「人間を超えた」とは現時点では言えません。

Opus 4.8からOpus 5に切り替えるとコストはどう変わりますか?

入力$5・出力$25/Mトークンと価格はOpus 4.8と同額です。ただしAdaptive Thinking(内部推論)がデフォルトでONになったため、同じプロンプトでもトークン使用量が増える場合があります。effortパラメータをlowやmediumに下げることで推論の深さとコストを調整できます。

Fast modeとは何ですか?

Fast modeはOpus 5を約2.5倍速く動作させる研究プレビュー機能で、Claude API専用です(AWS BedrockやVertex AIでは利用不可)。価格は通常の2倍(入力$10・出力$50/Mトークン)で、速度が求められるエージェントタスクに向いています。

※本記事は各サービスの公式サイトおよび公開情報をもとに作成しています。内容・数値は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。