「AIっぽい文章」と言われたら?直し方3つの手順
画像出典: パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
AIの文章が均質に見えるのは、次に来る可能性がいちばん高い単語を選び続ける仕組みのためで、指示が一般的なほど無難な表現に収束します。直すときは、翻訳調の名詞構文を動詞で言い切る・無生物主語を人に戻す・硬い漢語を和語にする、の3点をまず当て、そのうえで書き手だけが持つ具体と体験を足します。
「AIっぽさ」は、文章のうまい下手とは別の場所にあります。誤字もなく、論理も通っていて、読みにくいわけでもない。それでも読んだ人が引っかかるのは、文の組み立て方と、書き手の姿が見えない点に共通のクセがあるからです。
正直なところ、この違和感は感覚的なので指摘されても直しどころがわかりにくい。ただ、クセの正体は「次に来る可能性がいちばん高い単語を選び続ける」という生成の仕組みまでさかのぼると説明がつきます。仕組みがわかれば、直す場所も決まります。
なぜAIの文章は均質になるのか?
大規模言語モデル(LLM、大量の文章から言葉のつながり方を学んだAI)は、文章を「意味を考えて書き下ろす」のではなく、そこまでの文脈に対していちばんもっともらしい次の単語を、統計的に予測して並べていきます。1語決まったら、それを含めた文脈からまた次の1語を予測する。この繰り返しで文章ができあがります。
ここが均質さの出どころです。「いちばんもっともらしい」を選び続けるということは、言い換えれば多くの人が書きそうな、最大公約数の表現を選び続けるということ。指示が「わかりやすく書いて」のように一般的であるほど、行き先は平均的で無難な文章に収束します。逸脱や偏りこそが個性なのに、仕組みがそれを避ける方向に働いているわけです。
翻訳調が混じるのはなぜ?
もうひとつ、日本語特有の症状があります。Anthropicの研究では、モデルは言語をまたいだ「概念空間」の中で処理を進めており、その空間が英語表現に偏っていることが確認されています。フランス語から中国語への翻訳のような処理でも、内部的には英語が経由地点として働くことがあるとされています。
この英語寄りの発想の癖が、日本語の出力に残ります。「調査結果は〜を示しています」のような無生物主語や、「継続することが鍵です」のような名詞中心の構文が典型です。どちらも英語なら自然な形ですが、日本語で読むと硬く、翻訳文のような手触りになります。
そしてもう一点。AIは文法的に正しい文章を作れますが、書き手個人の経験や視点、話すときのリズムを内側に持っていません。だから一般論は整うのに、体温のある一文が出てこない。ここは指示の工夫ではなく、人が足すしかない部分です。
「AIっぽい」と言われる文章の特徴は?
直す前に、まず自分の原稿のどこが引っかかっているのかを特定します。指摘されがちな症状は、だいたい次に集約されます。
- 無生物主語(「調査結果は〜を示しています」)
- 翻訳調で名詞中心の硬い構文(「継続することが鍵です」)
- 硬い漢語表現(「モチベーション低下」)
- 「さらに」「また」など接続詞・定型句の多用
- 大げさな比喩(「ゲームチェンジャー」)
- 文末が「〜です。〜ます。」で単調に続く
- 具体性がなく一般論が並び、書き手固有の体験や視点がない
- アスタリスク(*)や引用符、シャープ(#)などの記号が残っている
最後の記号は、生成ツールがMarkdown(見出しや強調を記号で表す書き方)で出力した名残です。読む人にとっては「コピペしたまま出したな」というもっともわかりやすい証拠になるので、真っ先に消します。
症状別・7つの直し方は?
症状がわかれば、当てる手当ては決まります。前後を見比べられる形で並べます。
| 症状 | 直し方 | Before → After |
|---|---|---|
| 翻訳調の名詞構文 | 動詞で言い切る | 「継続することが鍵です」→「続ければ成果が出ます」 |
| 無生物主語 | 人・行為を主語にする | 「調査結果は〜を示しています」→「調査結果を見ると〜」 |
| 硬い漢語 | 和語に置き換える | 「モチベーション低下」→「やる気が下がる」 |
| 定型句の多用 | 削るか具体に置き換える | 「さらに、重要です」→ 削除 |
| 大げさな比喩 | 事実と数値で書く | 「ゲームチェンジャー」→「定型作業を任せられる」 |
| 記号・装飾の残骸 | 通常の表記に戻す | 「〜である——迷う」→「〜である、迷う」 |
| 表記揺れ・一般論 | 統一し、具体例を足す | 「多くの企業が成果」→ 具体的な事例・数値を明記 |
Solicioの公表内容をもとに作成
上の表で効き目が大きいのは、最初の3つです。無生物主語を人に戻し、名詞構文を動詞で言い切り、漢語を和語に開く。この3つは英語寄りの構文がそのまま出てきた箇所を狙い撃ちするので、当てるだけで文章の手触りがはっきり変わります。
どの順番で直せばいい?
やみくもに全文をいじると時間がかかるうえ、直したところと直していないところが混ざって読みにくくなります。表面から順に、3段階で進めます。
- 記号を消すアスタリスク(*)、引用符、シャープ(#)など、生成ツール由来の記号を全部削ります。検索置換で一気に片づく作業なので、考える前に手を動かす段階です。
- 文末と接続詞を整える「〜です。〜ます。」が3文以上続いていたら、体言止めや問いかけを混ぜて崩します。文頭の「また」「さらに」は、消しても意味が通るなら消す。ここまでで、機械が書いた感じはかなり薄くなります。
- 人間味を注入するここが本番です。読者が抱えている悩みを具体的な場面として書き、自分だけが持っている一次情報――実際の事例、手元の数値、体験談――を加えます。
3段階目の効き方は、実例で見るのがいちばん早いです。
修正前(AI生成):「近年、多くの企業で業務効率化が求められています。しかし、リソース不足により、なかなか進まないのが現状です。」
修正後(編集者リライト):「『毎日残業ばかりで、本来やるべきコア業務に集中できない……』深刻な人手不足の中、こうした悩みを抱える現場のリーダーは少なくありません。」
変わったのは情報量ではなく、読んだ人が頭に絵を描けるかどうかです。修正前は正しいけれど、誰の話でもない。修正後は、残業続きのリーダーという特定の人物が浮かびます。AIが内側に持っていないのは、まさにこの「誰の、どの場面か」の部分です。
具体と固有をどこから持ってくるか
「体験を足せ」と言われても手が止まる場合は、探す場所を決めておくと動けます。
- その作業で実際にかかった時間、件数、金額
- うまくいかなかったときの具体的な失敗
- 同僚や顧客から実際に言われた一言
- 自分が最初につまずいた場所と、その理由
- 一般論では当てはまらなかった例外のケース
どれもAIの学習データには存在しない情報です。一般論の段落を1つ削って、この種の具体を1つ入れる。この交換を数か所やるだけで、文章の持ち主がはっきりします。
そもそも「AIっぽくない」下書きを出させるには?
直す作業を減らしたいなら、生成の段階で手を打てます。仕組みの話に戻ると、AIが無難な表現に収束するのは指示が一般的なときです。逆に言えば、指示を具体的にするほど、選ばれる単語の範囲が狭まります。
効くのは2つです。ひとつは指示の定量化。「もっとフランクに」ではなく「関西弁を2割増やして」のように、程度を数字で示すほうが狙った文体に近づきやすいと実践者から報告されています。
もうひとつがFew-shotプロンプト(望む文体に近いサンプル文をいくつか例として一緒に渡す手法)です。出力のテイストを制御する効果があるとされ、プレスリリースや広告文、ブログ記事でも、イメージに近いサンプルを複数与えるほど定型的な出力になりにくいと紹介されています。文章そのものを見せるほうが、形容詞で説明するより早く伝わります。
自分の書いたものが手元にあるなら、それが最良のサンプルです。トーン・構成・口癖をまとめた「文体プロフィール」を作ってプロンプトに含めることで、下書きの段階から自分らしさが出やすくなるという実践報告もあります。
指示を工夫しても、完全自動化は難しく最終的な手直しは必要だとされています。生成の仕組み上、AIは平均へ寄る力を持っているので、そこから外れた表現は人が入れるほうが確実です。実務では「下書きはAI、仕上げは人」と役割を分け、直す観点をチェックリスト化して編集品質の属人化を防ぐ運用が紹介されています。時間が半分になれば十分な成果、くらいの見立てが現実的です。
直せたかどうかは何で判断する?
感覚で「まだAIっぽい気がする」と悩み続けるより、確認項目を決めておくほうが早く終わります。
- □ AI特有の記号(*、""、#)を削除したか
- □ 文末表現にバリエーションを持たせたか
- □ 読者の具体的な悩みを冒頭で代弁しているか
- □ 一次情報(事例・数値・体験)を含めたか
- □ 冗長な要約部分を削除したか
最後の「冗長な要約」は見落としやすいところです。AIは段落の終わりや文章の末尾に、直前の内容を言い直すまとめを置きたがります。読み返して、削っても何も失われない段落があれば、それがAIっぽさの残りかすです。
チェックが全部埋まっているのに違和感が消えないときは、たいてい一次情報の量が足りていません。「この文章、誰が書いても同じにならないか」と自問して、なるようなら具体をもう一段足す番です。
よくある質問
AIっぽい文章になるのはなぜですか?
大規模言語モデルは、文脈に対していちばんもっともらしい次の単語を統計的に予測して文章を作ります。そのため指示が一般的なほど、最大公約数の無難な表現に収束し、書き手ごとの偏りが出にくくなります。
AI特有の翻訳調はどう直せばいいですか?
無生物主語を人や行為の主語に戻し、名詞中心の構文を動詞で言い切ります。「調査結果は〜を示しています」は「調査結果を見ると〜」、「継続することが鍵です」は「続ければ成果が出ます」に変えると自然になります。
AIっぽさを消すのに最も効果があるのはどの作業ですか?
書き手だけが持つ一次情報を足す作業です。実際にかかった時間や件数、失敗の具体、人から言われた一言などは学習データに存在しないため、一般論の段落と入れ替えるだけで文章の持ち主がはっきりします。
生成の段階でAIっぽさを減らす方法はありますか?
あります。「もっとフランクに」ではなく「関西弁を2割増やして」のように指示を定量化する方法と、望む文体に近いサンプル文を複数渡すFew-shotプロンプトが有効とされています。ただし最終的な手直しは残ります。
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